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2007年01月21日

●第32話(シチズンの機械式腕時計について)

セイコー・オリエントは、ここ2、3年機械式腕時計を開発し発売しています。その点シチズンは、少し出遅れ感があるのは否めないでしょう。
「ザ・シチズン」と言う10年保証が付いている超高精度のクォーツ腕時計を発売していますが、機械式腕時計の高精度の物は、まだ再発売していません。

セイコーと同じように、シチズンもかつては「シチズン・クロノメーター」と言う手巻きの腕時計を1962年に開発し、発売していました。ムーブは1万8千振動で大型の天府を内蔵しており、長く使用に耐えうる設計がされておりました。この時計も、シチズンブランドでは幻の名機と言えるでしょう。

その10年後、グランドセイコー自動巻腕時計に対抗するため、「グロリアス・シチズン」と言う3万6千振動のハイビートの自動巻腕時計を発売しました。読者の方で「グロリアス・シチズン」を知っている方がおられたら、それこそ本当の時計ファンと言えるかもしれません。この時計もグランドセイコー自動巻腕時計に優るとも劣らない精度を保持していました。平均日差は-2~+3秒で、最大姿勢偏差は5.0秒と言う高精度を持っていました。私はグランドセイコー自動巻腕時計は何度も修理した事がありますが、グロリアス・シチズンは今までに一度もオーバーホールをした事がありません。時計師として、一度は修理してみたい腕時計の一つです。