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2007年01月22日

●第284話(モバードについて No、2)

今月2月3日、栄光時計(株)の時計・宝飾の展示会が 大阪国際会議場(グランキューブ大阪10F)で行われました。栄光時計と言えば、かつてセイコーの卸商として、東の(株)山田時計店と並び賞される程の大きな販売網を持った西の横綱で栄華栄耀を極めた時計卸商です。(現在では栄光時計(株)は取り扱い品目が沢山になり、ロレックス、モバード、セクター、シャリオール、サントノーレ、ロンジン、ラドー、ボーム&メルシエ、 レビュートーメン、コンコルド、コーチ等の卸業務をしています。)

小生の父はセイコー腕時計を(株)服部時計店、太陽興業(株)、栄光時計(株)、 三社から仕入れていました。それほど当時は腕時計と言えば、セイコー社の知名度がダントツに高く、 セイコーブランドを名指しで買いに来られるお客様が八割近く占めておられたので、どうしても在庫切れを防ぐ意味で 複数のセイコー取り扱い卸店と取引する必要があったのです。小生の店は、創業以来セイコー腕時計が、あまり沢山売れなかったので、 栄光時計(株)とは、長い間ご縁が無く、取引きがありませんでした。

現在、セイコーの卸商は、全て消滅しセイコー社が各時計店に直販するシステムを していますので、小生の店も、セイコー腕時計は、卸商を通じずに、直にメーカーから仕入れています。この度、栄光時計(株)マネージャーのK氏から、展示会の招待状が届き、以前から栄光時計(株)が日本総代理店をしている『モバード』に関心があったので、 妻と一緒に大阪まで出かけていきました。当日は、雪が降る天候が悪い日でしたが、滋賀県の湖北を過ぎた当たりから、 降雪が全く見かけられなくなり、日本の表日本と裏日本の冬の景色の落差に、いつもながら、驚きました。 それにしても琵琶湖・湖北の雪景色は奇麗で 車窓から見える冬景色に心が洗われるような気がしてきます。

『モバード』については、時計の小話(94話)に書いています。 モバードは、1881年に、スイス、ラ・ショー・ド・フォンで設立された 老舗の時計製造会社です。モバードとは、エスペラント語で、『弛まぬ前進』を意味する言葉で、 その名前に相応しい企業活動をしてきた時計会社と言えます。創業以来、モバード社はクロノグラフ、トリプルカレンダー等を自社開発の ムーブメントを搭載して、販売する程の高度な技術力を持ったスイスの名門時計会社でした。

ゼニス・エルプリメロもモバード社と共同開発して生まれてきた腕時計です。現在でも、モバードのフラグシップと言える腕時計『ミュージアム・ウォッチ』は、1961年ドイツから、興ったデザイン運動『バウハウス』の影響を受けた デザイナー、『ネイサン・ジョージ・ホーウィット』氏を採用して、名作『ミュージアム・ウォッチ』が、完成したのです。 今まで、クォーツ式がメインであった為、弊店は、取り扱いに躊躇していましたが、この度、メカ式自動巻の『ミュージアム・オートマチック』が市場に出てきた為に、 取り扱いする事に決め、10本余り仕入れて来ました。

いつも見ても斬新でシンプルなこのデザインは飽きの来ない美しい腕時計です。元来、私はユニバーサルを愛用してきた様に、薄型腕時計が好きなので、 モバードにも以前よりおおきな興味が沸き、弊店でも取り扱って時計の好きな方に紹介したいと、思っていました。 今、愛用しているノモスも『バウハウス』の影響を少なからず受けた腕時計で モバードに一脈通じる所があります。