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2007年01月22日

●第285話(オメガ・シーマスターNo、4)

オメガシーマスターにクォーツムーブメントを搭載された腕時計は、1973年に発売されました。完全な、自社生産マニュファクチュールのCal.1310で、非常に美しいクォーツムーブメントでした。

当時の高級機械式腕時計が、日差+-10秒前後の誤差があるのが普通でしたが、
このオメガシーマスター・クォーツは32Khzの高振動数で、月差+-5秒以内という超高精度を保持していました。当時のセイコー・クォーツのムーブメントは、どちらかと言えば無骨な感じがしないでもないのですが、このオメガ・クォーツムーブメントは、機械式ムーブメントの造りの良さを伝承した、芸術的な造り映えになっていました。

オメガシーマスター・クォーツには、その後、Cal.1320,1332,1337,1342,1430等のクォーツムーブメントが開発されていきましたが、今日のオメガシーマスター・クォーツには、ETAクォーツムーブメントCal.1435,1437,1438.1441等が搭載されています。

1976年に新登場した、オメガシーマスター・クォーツ・マリーナは、今までにない斬新で、重厚な四角張ったケースが特徴で、今までに無いデザインのせいか、新しいシーマスターファンを獲得しました。このデザインは、リバイバルとして、復活させてもかなりの人気を博するのではないか?と思っています。シーマスター・クォーツ・マリーナシリーズは、マリーナ2、マリーナ3と続き、オメガファンの人々にとっては、垂涎の的になったものでした。

Cal.1337を搭載した、オメガシーマスター・デイト付きクォーツは、閉息潜水(素潜り)で、世界記録を樹立したあの伝説的なフランス人ダイバー、ジャック・マイヨールが、腕につけていた時計として有名です。彼は、このオメガシマースター120mクォーツを腕にして、1981年11月4日に、エルバ島沖で水深101mに到達したのです。(最愛の友人イルカ・クラウンの遊泳法を学ぶことによって、この記録は生まれたと言われています。)

オメガ社とジャック・マイヨールは、その後深い関係に結びつき、今日『オメガシーマスター・アブネア・マイヨール』が発売されています。この腕時計は、ジャック・マイヨールの、アイディアを受け、合計14分まで計測可能なアブネアカウンターの7つの円が、文字板上半分に設置されているのが特徴で、素潜りダイバーの人達にとっては必須のアイテムになっているものです。

メカ式シーマスターからオメガシーマスター・クォーツに移行しつつあった1970年代以降もオメガシーマスターはよく売れていき、今日のスポーツウォッチの代表格としてロレックスと共に並び表されています。それにしても世界中の若人をどれだけ魅了し虜にしたかはその後の両社の発展を見れば顕かです。