« 第285話(オメガ・シーマスターNo、4) | | 第287話(修理環境について) »
« 第285話(オメガ・シーマスターNo、4) | | 第287話(修理環境について) »
2007年01月22日

●第286話(MOVADO(モバード)No、3)

今月から名門時計会社「MOVADO(モバード)」を正規取扱いする事になった理由は、シンプルなデザインの優秀さもさることながら、時計造りに対する真摯な姿勢が
好きだったからです。小生が若い時から愛用してきた「ユニバーサル」の時計造りに一脈通じる所があります。

1950年代から70年代の機械式時計全盛時代にモバード社はロレックス、インターナショナル、ジャガールクルト、ロンジン、ユニバーサル、オメガ等のマニュファクチュールと比較しても全く遜色しない見事なムーブメントを造り続けてきた会社でもあるのです。中でもゼニス社(エルプリメロ)と共にハイビート10振動の自動巻クロノグラフ(デイトロン)を共同開発した実績があるように、手巻きクロノグラフムーブメントにおいても素晴らしい機械を製造してきました。

モバードのCal.90MとCal.90は二つ目のインダイアルを持った手巻きクロノグラフで、ロービートの18,000振動、チラネジテンプ、ピラーホイールを装備した優れた
クロノグラフの機械でした。特にCal.90はメンテナンスが非常にし易くユニット構造式になっていた為に、ゼンマイ交換等の修理作業においては、たやすく出来るように設計されていました。

1970年代頃まで製造された、横並び三つ目のインダイアルを持った手巻きムーブメントCal.95Mは、当時のロレックス・デイトナと二分するほどの仕上がりが完璧な腕時計でした。(そう言えばどちらも非常によく似たシンプルのデザインになっていました。当時のクロノグラフの人気はほとんど無く、今日の爆発的な人気と違って一部のマニアの方からのみの、どちらかと言うと静かな人気と言えました。店によってはロレックス・デイトナでさえ売れ残った店もあったほどでした。)

現在アンティークファンに圧倒的な人気があるのは、その当時のモバードのクロノグラフです。生産された量も少ないと思われるので、市場に出ている数も限られ、ユニバーサル・トリコンバックスと共に余計にアンティーク時計ファンから垂涎の的のように思われています。アンティークの自動巻ムーブメント Cal.223は自動巻ローター錘が独特の形状をしており、当時のジャガールクルトの自動巻ムーブメントに見られたような、ケースの内側にバネを取り付けてローターが半回転するように設計されていた、珍しいタイプでした。