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2007年01月22日

●第280話(オメガ・シーマスター No、3)

手巻きのシーマスタークロノグラフが、登場して後、1971年~1978年にかけて Cal.1040  28800振動を搭載した自動巻のシーマスター・オートマチック・ クロノグラフが世の中に出てきましたこのクロノグラフは3時位置に、瞬間日付変更するカレンダー窓があったので、 60分積算計のインダイアルが設置できず、ポインターデイト方式の先端がクロスの形をした先端が赤色針で分表示をしていました。

クロノグラフは、一般的に三ツ目が多いのですが、このクロノグラフには インダイアルが二つしか無い、という個性的な顔をしていました。発売後、30年以上経過しているので、クロノグラフ機構のパーツが入手出来ない為に、輸入元サービスセンターでも修理は出来ない状態になっているのが、 残念な点であります。

このシーマスター・オートマチック・クロノグラフには、120m防水モデルも発売され、当時のスポーツを愛する若人には、熱烈な支持を受けた腕時計でした。 1970年以前ののオメガ社のメカ式腕時計の完成度はセイコー社のかなう敵では無く、 世界の中でロレックスと共に圧倒的な地位を得ていました。しかし1969年にセイコー社がクォーツ・アストロンを発売するにあたり、 精度の面で今までセイコーよりもかなり上位にいたオメガ社であってもクォーツの精度に敵わず、オメガ社も腕時計のエレクトロニクス化に 一路驀進したのです。

オメガ社がまず、目をつけたのが、国産のシチズン社と同じ様に、 音叉式腕時計でした。セイコークォーツに遅れる事一年、1970年に音叉式腕時計、 シーマスター・エレクトロニック f300Hzを発売しました。この、シーマスター・エレクトロニック f300Hlzは、 1960年にブローバ社が発売した音叉式腕時計アキュトロンから技術供与を受け、オメガ独自の音叉腕時計に改良して、Cal.1250を搭載して、発売されました。

この、オメガ音叉式腕時計の機械は、赤金色メッキを地板に施し、 時計職人をうならせる素晴らしい出来映えの音叉式腕時計でした。 1973年には、Cal.1250をさらに高振動化させ、 オメガシーマスター・メカソニック 700Hzを開発し、発売致しました。このオメガシーマスター・メカソニック 700Hz(Cal.1220)は ブローバ社アキュトロンを開発した天才時計技師、マックス・ヘッツェル氏がスイス電子時計センター(CEH)に移籍して、新開発したムーブメントで、 以前の音叉式腕時計の精度よりも遙かに上にいっていた上級音叉時計でした。

この様に、オメガ社は音叉式腕時計に固執して素晴らしい音叉式腕時計を 世に問いましたが、クォーツの廉価版が出てくるにあたり、到底コストと精度の面で立ち向かう事が出来ず、 短命に市場から消え去る運命を背負っていました。このことはシチズン音叉式腕時計・ハイソニックが短い期間に消えていった運命と 同じ道を辿りました。現在でも、オメガ音叉時計を所有している人は極めて少ない人だろうと、思います。