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2007年01月21日

●第278話(オメガ・シーマスター No、1)

ダイバーズウォッチと言えば、すぐにみなさんの頭に思い浮かぶのは、 オメガ・シーマスターとロレックス・サブマリーナだと思います。弊店の修理履歴を見ていただいても、オメガ・シーマスターが、 日本の方にいかに多く愛用されてきたか、解っていただけると思います。四方を海に囲まれた海洋国家、日本の国民にとって、ランドマスター系よりも、 シーマスターやサブマリーナに人気が集まったのも頷けます。

海への憧憬が強い国民性の日本人にとって海馬シーホースをシンボルマークにしたオメガ・シーマスターを持つことは自己満足以外にも優越感を味わえたのでしょうか。 数あるダイバーズウォッチの中で、オメガ・シーマスターとロレックス・サブマリーナは東西の横綱を張る大看板に相違ありません。

オメガ・シーマスターは、1948年にハーフローター方式の自動巻キャリバーCal.341を 搭載して初めて世の中に登場しました。(ロレックス・サブマリーナはオメガ・シーマスターより遅れて1953年登場でした。)当時としては、水深60mに対応する防水性能を備えていました。 発売当初から、シーマスターには、いろんなバリエーションの腕時計が次から次へと登場して世界中の時計ファンを魅了しています。

自動巻(オートマチック)もあれば、手巻き(マニュアル)もあり、 センターセコンド方式もあればインダイヤルにスモールセコンド方式も採用されていて、ユーザーの好みにあった腕時計を 選択出きるのも、人気を博した一因なのかもしれません。何よりもデザインだけではなく搭載されているムーブメントが 他社時計メーカーよりもダントツに勝れていたからでしょう。

現行のオメガ・シーマスターには、Cal.1120(23石、ベースムーブメントETA2892A2)を 搭載しているものが多いです。 かつてのシーマスターに搭載されているムーブメントで、非常に優れた名機が 存在したので読者の方にお知らせしたいと思います。

手巻きの30mmキャリバーのCal.284(18000振動、17石、1955~1959年製造)、 Cal.285(18000振動、17石、1958~1961年製造)、Cal.286(18000振動、17石、 1961~1963年製造)等は、ブレゲ巻き上げヒゲを採用していて、特にCal.286は 1963年の天文台クロノメーター・コンクールで最高の精度記録に輝いた 栄光の腕時計です。

これらのムーブメントを搭載した、オメガシーマスターはアンティーク市場で、最近、爆発的な人気を博し、なかなか手の届かない高価格に、なっているのが 現状です。(e-beyで安く買っておられる知人もいますので参考にして下さい) オメガ・シーマスターの自動巻キャリバーでつとに有名なのは、 Cal.560台のムーブメントシリーズでしょうか?

その中で最終ムーブメントモデルCal.565(24石、19800振動、1966~1973年製造)は、地板を赤色金メッキされた、耐久性のある美しい高精度が出るムーブメントで、 今なお、多くの人に愛用され続けている自動巻腕時計です。 1970年代になりますと、28800ハイービート振動のCal.1010、1012(1973~1983年製造) が登場しました。このムーブメントは、部品総数が多く、各パーツも繊細で薄型・小型化 されている為に、修理するのに高度な腕前が必要とされる、ムーブメントであったのではないか?と思います。 (Cal.1010はクォーツの黎明期に重なったために、余り売れなかったのではないかと推理しています)

若い人達に圧倒的な支持を受けているオメガ・スピードマスターも、 シーマスターから派生的に誕生した事を思えば、現代のオメガの隆盛は過去のシーマスターのおかげだと言えなくも無い、と思わざるを得ません。 それ程、シーマスターはオメガ社の代名詞になっている時計です。