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2007年01月21日

●第267話(盛岡セイコー工業(株)について)

メカ式のグランドセイコーや、クレドール等のセイコー高級機械式腕時計を 生産している、『盛岡セイコー工業(株)』は、以前の第二精工舎 (現セイコーインスツル(株))の優秀な子会社であります。

最近、盛岡セイコー(株)(岩手県岩手郡雫石町板橋61-1)が、 社内に手作りの高級機械式腕時計を生産する『雫石高級時計工房』を設置し、 始動しました。

1970年に設立された、盛岡セイコー工業はアナログ・クォーツムーブメント等を中心に、年間1億2千万個を生産する一方で、GS等のセイコーを代表とする メカ式高級腕時計の生産もしてきました。(しかしその数は年間15,000 個でしかありません。ロレックス社はメカ式をおそらく年間70万個は生産しているものと思います。)

スイスの代表的時計メーカー、ロレックス、ジャガールクルトと同じ様に、 盛岡セイコー工業(株)は部品製造から、組立完成品に至るまで、 一貫して出来る技術があるマニュファクチュールでもあります。

盛岡セイコー工業には、桜田守氏、照井清氏、大平晃氏に代表される 卓越した技能士がおられ、現場で生産組立調整に携わる一方で、 若手の技術者を育成し、技術を継承する為に努力されていると聞き及んでいます。

盛岡セイコー工業の工房内には、見学コースが新たに併設されて、部品製造から完成品の組立に至るプロセスを近くで、垣間見る事が出来る状態になっているとの事です。(東北の方でメカ式に関心のある読者の人は問い合わせて訪れてみたら きっと大きな収穫があると思います。)

セイコー社は、クォーツ生産技術によって、世界の冠たる時計メーカーに大飛躍を過去において遂げましたが、現代の機械式腕時計の復活する事を予見する事が出来ず、スイス時計メーカに比較して大きく立ち後れた事は否めないと思います。ようやく、本腰を入れて、メカ式高級腕時計の生産を大々的にする意思を固め、このような体制造りになったものと思います。

願わくば、日本ロレックス社が、東京に時計学校を設立したように、日本を代表する時計メーカー、セイコー社が若手の時計技術者を育成するために、公の時計学校を将来、設立して欲しいと願っています。そうする事によって才能ある時計技術者の発見・掘り起こしにもつながり時計業界の裾野が広がるものと確信します。