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2007年01月21日

●第257話(バーゼルフェア)

今年も、スイスで開催されたバーゼルフェア、SIHHが成功裏に終わったそうです。 たくさんの時計メーカーが意欲的な新作を発表しましたが、 その中で小生が特に興味を持った腕時計がいくつかあったので、 紹介してみたいと思います。

インターナショナルが満を持して発表した、『ポルトギーゼ・ミニッツ・リピーター・スケレット 税抜き予定価格1075万円』。この時計は、直径42mmの18KWGの大型ケースに、完璧なまでのスケルトン加工を施したミニッツ・リピーター搭載の手巻き(Cal.95911)腕時計です。

リピーターの音色を奏でるハンマーとゴングが、文字板下部から見られるので 興味が沸きますが、それよりも裏蓋側から見られるスケルトン手巻きの美しさに 感嘆せざるを得ません。 この様な、腕時計を製作出来るIWCに感動を覚えると同時に脱帽ものです。

2番目に、興味を引いたのは、タグホイヤー『MONACO V4コンセプトウォッチ』です。この試作品モデルは自動巻のローターに代わる物に、『線形振動錘プラチナ製(ケース裏側で上下に振動する)』を採用しています。また、ケースの4角に4個の香箱があり、今までの歯車に代わり、リレー式駆動ベルトを採用している、画期的なシステムになっています。商品化されるまでには、未だ幾多の課題を克服しなければならないでしょうが、将来的には楽しみとも言える腕時計の一つだと思います。

もう一つの時計は、フレデリック・コンスタント社が、マニュファクチュールとして仲間入りを果たすべく、自社開発したハート・ビート新開発ムーブメント(FC910-1)を搭載した腕時計です。このムーブメントの特徴は、文字板側にテンプ受けがあるという斬新な発想で作られています。バーゼルフェアともなると、金銭感覚がおかしくなるほど、一千万円とか一千五百万円もする高級腕時計が氾濫していますが、このフレデリック・コンスタントの新型の特色の一つは、少し我慢して蓄えれば、一般の方々でも購入出来る価格(\378,000)である事が嬉しいです。

最後の一つは、マニュファクチュールの代表的な時計メーカーのジャガールクルト社が発表した『ジャイロ・トゥールビヨン・永久カレンダー・8日巻き腕時計(390.000スイスフラン、邦価約3.500万円)』でしょうか。一般的なトゥールビヨンはキャリッジが水平に回転するのですが、この時計は二重の球体ケージに収めて多方向に回転させるという代物です。均時差表示、パワーリザーブインジケーター、レトログラード方式の日付と月表示、ケースの裏には、閏年の表示まで出来るそうです。