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2007年01月21日

●第251話(オメガ・スピードマスター その2)

現行のオメガ・スピードマスターには、Cal.1861が搭載されています。これは、Cal.861が、金メッキだったものを、ロジウムメッキに仕上げ変更をして 世に出されたものです。今まで、何十回となく、オメガ・スピードマスターの修理を携わってきて、手巻きクロノグラフの美しさにいつも魅了をされ続けています。(クロノグラフを購入される時計好きな人達もシースルーバックから垣間見えるこの機械的な美しさに参ってしまったに違いないでしょう。)

オメガ・スピードマスターを修理するときに、一番神経を使うのは、ムーブメントの組立調整では無く、六本の各種針の脱着作業です。このオメガの針の白い塗料は凄く傷つきやすく、また剥がれ落ちやすい為に、最大限の神経を集中して、作業をしなければなりません。(使用中に衝撃・落下等で白い塗料が剥がれ落ちた時計に何度となく会っています。)

250話と上記の最近のスピードマスター以外にも、異なったキャリバーを搭載した スピードマスター・クロノグラフが多々ありました。 1973年には、オメガ社創立125周年を記念して、自動巻のスピードマスター・クロノメーター(Cal.1040)が、世に出ました。このクロノグラフ・ムーブメントはレマニア製Cal.1340をリファインしたものでした。

同じく、1973年には、アメリカのブローバー社の音叉式腕時計の精度に対抗すべく、世界で初めて、音叉式ムーブメント・クロノグラフCal. 1225搭載のスピードマスター・スピードソニックを開発しました。機械の構造上、スモールセコンドが12時の位置にあり、30分計が9時位置になり、デイデイトを標準装備してありました。

この時計は、当時のオメガ社の技術陣が総力を挙げて開発したものに違いないのですが、クォーツ腕時計の黎明期と重なった為に世に出た寿命が短く、僅か二年間で消え去る運命だったのが残念で惜しまれてなりません。それ程までに金メッキされた美しいエレクトロニクス・音叉ムーブメントでした。

1980年には、アポロ11号月面着陸10周年を記念した、 限定モデルが、初めてシースルーバックを採用されて発売されました。 1988年には、Cal.1140(48石,28800振動,自動巻)が新しく開発され、世に出ました。スピードマスターの変還史を掻い摘んで見てきただけでもオメガ社の技術力の底力をまざまざと見せつけられた思いに駆られるのは、私一人では無かったと思います。

今年のバーゼルではΩスピードマスター・プロフェッショナルMK?が文字板や針に カラーリングが施されレーシングウォッチの再現が見事になされました。 8月発売予定で304.500円になるそうです。