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2007年01月21日

●第250話(オメガ・スピードマスター その1)

スポーツ腕時計の名声を欲しいままにした腕時計と言えば、オメガ『スピードマスター』の右に出る時計は無いと思います。ロレックス・デイトナの存在がいかに大きくとも、オメガ・スピードマスターの50年弱に渡る、歴史の重さを考えれば、その存在意義は他を圧倒するものでしょう。世界中の若人の胸をトキメキさせた一番の腕時計と言えばΩスピードマスター だったような気がします。

オメガ・スピードマスター・ファーストモデルは、1958年にCal.321 (ムーブ直径27mm・金メッキ使用)を搭載して発売されました。 特徴としては、時針は蓄光塗料が塗られた大きなアロー型で、 分針はドルフィン型が採用されていました。

初代スピードマスターはピラー・ホイール方式を採用していたために、 構造は複雑で生産コストも高くなり、修理調整も厄介で、そういうデメリットも ありましたが、時計マニアの方には、この操作方法の方を、 高く評価されたのも事実でした。

2ndモデルは、1959年に登場し、キャリバーは同じCal.371を搭載し、針の形状が、細長いアルファ型に仕様変更されました。この2ndモデルが、アメリカ・マーキュリー計画以降の宇宙飛行計画で使用する、NASAに公式時計として、採用されました。1秒を争う厳しい宇宙空間の中でΩスピードマスターは絶大なる信頼と信用を 勝ち得たのでした。

3rdモデルは、1963年から68年にまで製造され、NASAはジェミニ・アポロ計画の 公式時計として、正式採用しムーブメントは初代のCal.321を踏襲しておりました。

4thモデルは3rdモデルとほぼ同時期に発表・発売されています。 ムーブメントも同じ手巻きのCal.321を搭載していました。 1969年、アポロ11号による、人類史上初めての月面着陸に携行された(ムーン・ウォッチ)の名で世界中の人々に知られる様になったのは、おそらくこの4thモデルだろうと言われています。

1968年にはレマニア社の協力を得て、新ムーブメントのCal.861を開発して、 5thモデルが発売されました。このスピードマスターから、従来のピラー・ホイール式から、カム式に変更し、パーツ数を相当数減らす事によりコストダウンにも成功し、修理が容易なるという 最大のメリットがありました。

テンプもチラネジ式を止めて、丸テンワ式に変更した為に、慣性モーメントも高まり、より等時性が安定して出やすくなりました。当然振動数も、Cal.321は18000振動でしたが、Cal.861は21600振動まで高められ、自ずと精度の向上が見込まれ絞り込みが、容易になりました。

執筆後記     
先日、名古屋のM商事のM氏が来店しビックリした噂話をされました。バーゼル・フェアではこのことで話は持ちきりだったそうです。アカデミー会員の著名なフランク・ミュラー氏が『フランク・ミュラー社』から抜けたという話らしいのです。真偽はともかくとして何かと話題に上る彼らしいと思いました。