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2007年01月21日

●第245話(ハミルトン腕時計について)

先月から、弊店でハミルトン腕時計を正規取り扱いする事を スウォッチ・グループ・ジャパンと契約しました。送られてきたハミルトン腕時計はどれもデザインが秀逸で価格も割安感があり取引して良かったと安堵しました。特にさすが世界一の時計会社であるからでしょうか?箱・付属品・保証書等がキレイに作られていてお買い上げ頂いた方にきっと満足感をあたえるものと確信しました。(時計店への委託貸し出し業務を全くしていないためでしょうか、ケース・バンド等に微塵もキズが付いていなくて安心して仕入れが出来ました。)

特にハミルトン・クロノグラフ 『マウントバーノン』は何処にもない押し出しの強いデザインで 『カーキ』と共に若人に人気を集めそうです。

急に、ハミルトンを弊店で販売しよう、と思いついたのは、アメリカ在住の知人、遠藤勉氏からの電話でハミルトンという会社が、100年以上も前の時代に、その当時では、とても精度の良い鉄道懐中時計(レイルウェイ・スペシャル)を製造していて、アメリカ鉄道網建設に陰の支えとなった、という事を知ったからです。

遠藤勉氏もハミルトンを沢山、修理していつも良い時計なので感心しているとの 事でした。 小生が、この業界に入った頃、ハミルトン製の電気腕時計 Cal.500 (12石 18000振動)の修理を時折した記憶があります。
この時計は、1957年に発売され『ベンチュラ』とネーミングされ、当時としては、独創的なテクノロジーと人目を引き寄せるスタイリングで時計史上、偉大な足跡を残しました。この電気腕時計は、永久磁石とコイルと接点によって作動し、 1.55Vの電池で、14ケ月間休みなく動き続けるという当時の時代背景からは、想像だにしない画期的なエレクトリック腕時計でした。(現行の『ベンチュラ』は 当時そのままのデザインを踏襲していて未だに新鮮な感じを与えるのに 驚きを感じます)

アンティーク・ハミルトン手巻き腕時計をオーバーホールするたびに驚かされる事があります。ロレックスと同じようにブレゲ巻き上げヒゲを多く採用していた事です。いかにハミルトン時計会社が精度追求に本気になっていたかが計り知れるというものです。 (特に角形のムーブメントに優れたものがあったようです。)

ハミルトン時計会社は、1892年にアメリカ合衆国ペンシルバニア州ランカスターに創立した、伝統のある時計会社でベンラス、ブローバ、エルジン、タイメックス、と共にアメリカ発祥の時計メーカーとして名を残しています。(余談ですがペンシルバニア州と言えばカレッジ・アメ・フットで強豪チームで有名なペン・ステイト大学がある東部の州です。PGAの全米オープンで2回も優勝したシニア・ゴルフの賞金王、H・アーウィンはペン・ステイト大学でクォーターバックをしていたと聞いたことがあります。)

1940年代の第二次世界大戦の頃、アメリカ政府の要請を受けて、ミリタリーウォッチを全社を挙げて生産する事に傾注し、100万個以上の軍用腕時計を生産した事は 生産工程が非常に効率の良い、システムを構築していたものと思います。おそらく、ダグラス戦闘機、B29爆撃機等のパイロット達もハミルトンを腕につけて、大空に飛び立っていたに違いありません。