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2007年01月21日

●第243話(バネ棒)

時計ケースと、時計バンドを取り付ける方法に、バネ棒方式、ネジ止め式、 ピン&パイプ方式という三つのやり方があります。

今日はバネ棒方式について述べてみたいと思います。時計ケースの4つの足(ラグ)に、0.8mm前後の穴が掘ってあり、そこにバネ棒を埋め込んでバンドを取り付けたり、外したりするのです。(大きくわけて2種類の形のバネ棒があります)10~15年メンテナンスをしないで、使用しつづけていると、バネ棒先端部が、サビ朽ちて、ケースの足に埋め込まれたまま付着し、メタルバンドが取り外せない時が、時折あります。

OH依頼の時は、ケース及び時計メタルバンドも洗浄しなければならない為、時計バンドを取り外すとき、サビている場合、無理をして、工具でバネ棒を外そうとすると、バネ棒先端部分がケースの足に埋め込まれたまま折れてしまう時があるのです。そうなると、大変で、ラグの穴の直径に合わせた、錐を別作して、 穴堀り作業をせざるを得ません。

時計ケースが、昔の柔らかい真鍮製ケースの場合は上手くいくのですが、ケースが硬いSS製の時は、穴堀り作業に、大変な苦労と時間がかかります。ロレックス社のバネ棒は、腕時計メーカーの中で一番、頑丈に出来ているのですが、その為に、ユーザーの方が安心しきって、20~30年もバネ棒を交換しないで使用している場合があります。その場合もよくあることなのですが、ラグと曲管を取り外すときにバネ棒の先端が、サビて折れ込んでしまうケースが、良く見受けられます。(また曲管の中にあるパイプとバネ棒が錆びて離れない場合もあり大変です。)

最近のロレックスのケースは、その穴が、かつての様に、ラグを突き破っている穴で無い為に、折れ込んだら大変なので、定期的にバネ棒の交換をお勧めします。 (かつてのロレックスのケースは、ラグのバネ棒の穴が、貫通していた為に万が一折れ込んでも、簡単に抜き出せる事が出来たのです。)

IWCは機種にもよるのですがバネ棒はどちらかと言えば細く華奢に仕上げています。オメガはロレックス程ではないのですが堅牢に作られています。(バネ棒一つとっても各時計会社のこだわりがあるのです。)30~40年以上前の時計のバネ棒では特殊な方式がありました。ケースの足に凸のような突起がありバネ棒が両端とも凹のような形をした物があり初心者の方がうっかりして強く外そうとするとケースの足の凸状の金具が折れてしまう時がありました。そうなったらまた修理するのも大変で助け船を出して困惑したものでした