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2007年01月21日

●第225話(時計修理技能士試験の最近の動向)

機械式腕時計のブームにより、時計修理技能士の絶対的な不足が懸念されている今日、時計修理技能士試験受験者が、ここ2、3年増加傾向にあるのは大変喜ばしい事です。

昭和40年には1万人を超す受験生がおり、昭和41年には6千人を超す受験生が日本全国の各都道府県にいましたが、1970年代初期のクォーツ時代の到来により、時計修理技能士試験受験者は減少の一途を辿るのでした。1990年前後からのスイス時計メーカーのメカ式腕時計に復活を賭ける意気込みと共に、日本市場にもメカ式腕時計の良さがユーザーに再認識されはじめ、どの小売り時計店でもメカ式がそこそこ売れはじめてきた訳です。

ここに至って、その頃販売されたメカ式腕時計の修理依頼時期が来る様になると、今まで修理を自店ではしていないでサービスセンターのみに頼っていた、小売り大型時計店の経営者達が慌てだし、従業員にせめて自店で販売した腕時計の修理アフターサービスをする様に気がつき始めたのです。

2000年に全国で僅か299人の時計修理技能士試験受験者がいたのですが、2001年には311人と増え、今年は全国で458人が1級(98人) 2級(171人)3級(189人)を受験される予定です。全国の時計専門店は、この厳しい時代の中生き延びてゆくには、修理技術を自店で賄う事の重要性をやっと気が付き始めたのです。

私どもの店の様に、零細な家族経営の店では、大資本の大店の品揃え・立地条件に同じ土俵で競争出来るハズもなく、この30年間、修理技術を蓄積してきた努力により、今日までなんとか閉店せず生き延びて来られたものと推察しております。
この業界に身を置く若い人達が、営業・事務・修理現場の範疇を越えて熱意を持って時計技術を習得するために気がつき、目覚めて欲しいと思っております。

かつてスイス時計業界と並び賞された日本のメカ式時計技術を復興させる為にも、既存の時計メーカーの人々のみに頼らず、消費者と直接向き合う小売り時計店の人達が時計修理技術を習得する事が日本時計技術全体の底上げ・レベルアップつながるものと確信しております。やる気のある若い時計修理技能士資格獲得者が増えれば、おのずとCMW試験が再度、復活する気運が高まるものと思っています。その時は小生も微力ながらお手伝いをする覚悟でおります。