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2007年01月21日

●第202話(シチズン自動巻の名機)

昭和40年代にセイコー5に対抗して、シチズンから売り出された、日付曜日付き自動巻腕時計、クリスタル7が時折弊店に修理依頼がくるようになり、うれしく思っています。この時計の基本Cal.は520でムーブメントの直径は20.8mm、厚さは4.48mm、振動数は18,000振動でした。

セイコー5が手巻き機能が付いていなかったのですが、シチズンクリスタル7は全機種に手巻き機能がついていました。このCal.52系列はシチズンが誇った並級タイプでは薄型の高性能の自動巻でした。基本のCal.52から日付付きのみCal.54が出来、日付無しのCal.64が生まれました。セイコーの方針と違うのは、シチズンは一つのムーブメントを開発して、多種多様のペットネームの腕時計を売り出した事です。選択肢を増やすことにより消費者の多様な嗜好に対応したものとおもいます。

52系では、クリスタル7カスタム、オートデイター7、ダンディ7カスタム、オートデイターコンパクト、クロノマスターADD、クロノマスタースペシャル ADD、カトラスADD、セブンスター、セブンスターEXカスタム、セブンスタDXマンスリー、サッカーカスタム、ラリーカスタム、ヨットカスタム、セブンスターDXが生まれました。

Cal.54系には、クリスタルデイト、スーパークリスタルデイト、クロノマスターAD、クロノマスタースペシャルAD、カトラスAD、オートデイターコンパクトが出来ました。

64系には、キングローター、ログマスター、カトラスAが誕生致しました。

自動巻ローターはムーブメントの中心に支持され、特殊な形をしたネジ頭がついている為に、取り外しには専用のドライバーが必要でした。自動巻機構はローターの回転はクラッチ伝え車を介して二個のクラッチ車で一定方向の回転に変換され、第一、第二減速車で減速し角穴車に伝え、ゼンマイを、巻き上げる方式です。セイコー5と違って、この42系のOHは部品数が5割近く多い為に、作業に時間がかかります。特に、文字板側に使われているバネ総数がセイコーと違って6本と多く、分解組立時にバネを飛ばさない様に神経を使います。

テンプは三本のアミダ式で、ヒゲ棒隙間は片当たり方式を採用していました。通好みで言えば、セイコー5よりもシチズンクリスタル7のOHの方が難しい為に、やり甲斐があったと言えるかもしれません。