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2007年01月21日

●第19話(アンティーク腕時計について) 

ここ数年来、若い人を中心として機械時計のアンティーク腕時計がとても人気があります。当店ではアンティークショップで購入されたお客様が、当店へ修理の依頼のために持ち込みされるのが増えてきております。修理をして感じることは、かなり年代物であってもムーブの状態が非常によい時計がある反面、ケース・文字板がキレイでも、中の機械を未熟な修理屋がいじったため、みじめに壊されている時計にもよく会います。

最近、あまりにもひどかったアンティーク腕時計の修理がありました。大学生がアンティークショップでオメガ・スピードマスターを9万円で購入したものの、全く正常に作動しないと言うのです。中を見てみると、人間で言うと心臓の部分の『天府』のヒゲゼンマイが壊れていたり、ネジ頭が合致したドライバーでいじっていないために無くなっていたり、ひどくキズが付いていたりしていました。

消費者の人は中の機械のことはよくわからないと思います。アンティークショップの店員さんも、知識はあっても、中の機械の状態をハッキリ把握できる人は少ないと思います。アンティーク腕時計の顔(ケース・文字板・年代)ばかり注目しないで、1番大切な中の機械も注意する必要があると思います。アンティークショップも、ムーブメントの状態をランク付けする必要があるのではないでしょうか?ABCDEの5ランクぐらいに分けるべきだと思います。それをすれば売れないと言われるかもしれませんが、将来的には消費者の人から良心的な業界だと認められると思います。家を建てるのも、建築士に依頼して設計図通りなっているか確認するのが普通です。アンティーク腕時計で高額な品を買われる人は、顔ばかり見るのではなく、中の機械は最低でも時計修理技能士(理想的にはCMW)に見てもらって購入されるのが賢明だと思います。