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2007年01月21日

●第12話(スイス舶来腕時計について)

30年ほど前、長浜市の父の時計店に置いていたスイス製腕時計と言えば、懐かしがる人もおいでるかもしれませんが、エニカ・シーマ・ジュベニアが低価格で人気がありました。しばらくすると、酒田時計貿易がラドーを輸入し、販売し出しました。販売戦略が非常に良かったため、消費者に受け、かなり売れました。

それからもう一方の平和堂貿易がウォルサム・テクノスを、日本シーベルがオメガ・チソット(今ではティソと呼ばれています)を、服部セイコーはロンジンの輸入代理店になり、日本で売り出しました。ロレックスはリーベルマン商会が扱っておりました。ゼニス(以前はゼニットとよんでいました)は東邦時計が代理店で、ユニバーサルは村木時計が扱っておりました。昔は今のように多種多様のブランドの腕時計が日本にはあまり入って来ていなかったのです。
現在のスイスでは、メーカーの統廃合の再編が行われつつあります。大きく分けて4つの資本グループと単独のマニュファクチャーのメーカー(約5社)です。

『グループ1』
LVMHグループ(ルイヴィトン・ヘネシーグループ)…タグホイヤー・エベル・ゼニス・ショーメ

『グループ2』
スウォッチグループ(スイス時計マイクロエレクトロニック総連合)…オメガ・ロンジン・ブレゲ・ラドー・プランパン・ティッソ・ハミルトン・サーチナ・レマニア社(複雑時計のムーブメント供給会社でトゥールビヨン・ミニッツリピーターの製造をしている)

『グループ3』
マンネスマングループ(LMH連合)…ジャガールクルト・IWC・ランゲ&ゾーネ

『グループ4』
ヴァンドームグループ(各メーカーが連携していて、資本関係はあまりないグループ)…カルティエ・ピアジェ・ボームメルシエ・ダンヒル・バセロンコンスタンチン・パネライ

『単独マニュファクチャーメーカー』
ロレックス・パティックフィリップ・ユリスナルダン・ジラールペルゴー・ブライトリング等

大手資本が金の力にものをいわせて伝統ある時計メーカーを買収し、その翼下に収めることは、それぞれの時計メーカーが長年にわたって培ってきた個性・哲学・ 文化・独自性を喪失するのではないかと、私は懸念しております。日本ではセイコーがアニエスb・クレージュ、シチズンがイヴサンローラン・ミラーション・ランセル等をライセンス生産しています。デザインでブランド腕時計を買うよりも、同価格のメーカー品を買えば、かなり良い機械の入った腕時計が買えます。それは、消費者のお好み次第です。