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2007年01月21日

●第35話(スイス時計 インターナショナルIWCについて)

スイスに本社を構える数ある有名時計メーカーの中で、私はインターナショナルIWC腕時計が一番好きです。時計職人でインターナショナルが嫌いな人は1人もいないと思います。人気ばかり先行して、設計力・技術力が伴っていないメーカーはスイス時計と言えどもたくさんあります(あえてメーカー名を言うのは差し控えさせていただきます)。

インターナショナルIWC腕時計の修理依頼受けると、他の時計をさしおいて修理をしてしまいます。待ちこがれた恋人にやっと出会えたような心境です。どのようなインターナショナルIWCであろうとも、期待を裏切る事もなく素晴らしいムーブメントで、修理している時は職人として至福の時間です。

インターは、オメガ、ロンジン、ロレックス、ゼニス、ジラールペルゴーとは違って、天文台コンクール、及びクロノメーター歩度公認検定局(B.O. 検定)には一切タッチしないで、参加・提出しませんでした。インターの企業姿勢は地味で目立たないのですが、同社は独自で厳しい検査基準を設けて、全ての自社生産する時計にテストして市場に出していました。その精度は優秀級クロノメーターよりもさらに厳しく、許容誤差は0秒~+5秒以内というものです。耐久性・高精度を考慮して、18000振動から19800振動のムーブで、当然巻き上げヒゲゼンマイを採用していました。

簡潔で効率の良い自動巻機構は他のメーカーの追随を許さない代物です(セイコーファイブアクタスの自動巻機構はやや似ています)。故障が起きにくく、修理しやすく、また高精度が出て、長年の使用に耐えられるものは、私見ですがスイス時計の数ある中でインターナショナルIWCが一番だろうと思います。ムーブメントキャリバー8541はインターナショナルIWCの逸品でしょう。

インターナショナルIWCはゆうに140年の歴史があり、意外にも米国人ジョーンズによって創立され、それ以降スイス人による経営がなされています。工場はライン河畔のシャフハイゼンにあります。

同社の懐中時計は精度が極めて良いので有名で、英国のチャーチル首相も愛用していました。インターナショナルIWC懐中時計にはこんな逸話があります。20数年ほど前、スイスの外交官夫人が北京の骨董品店から購入した銀製のIWC懐中時計(ケースナンバー31385)をスイス本社で調べてもらったところ、1887年5月21日に中国に向けて輸出されたものと判明したとのことです。このことからインターナショナルIWC製の時計はすべてケースナンバーが記録されていると言うことなのです。
尚この懐中時計は本社で分解掃除をしたら、日差+3秒まで復元したとのことです。
100年も前なのに、その頃からいかに高精度の懐中時計を製作していたかの証明でしょう。

インターナショナルIWC腕時計には、インジュニア、ヨットクラブ、ポロクラブ、ゴルフクラブのブランドの腕時計がありました。現在のインターナショナルIWCの企業活動も盛んで、ダビィンチ、マークXV、フリーガーUTC、ポルトギーゼクロノを好評発売しております。もっともっと日本でインターナショナルIWC 腕時計が売れることを、私は心底願っております。このメールマガジンをお読みの方でインターナショナルIWC腕時計を所有しておられる方は、是非とも弊店に修理依頼していただきたく存じます。