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2007年01月21日

●第6話(国産メーカーについて 1)

日本には5つの時計メーカーがあります。
セイコー・シチズン・オリエント・リコー・カシオです。

◇セイコー◇
ここ数年、セイコー舎は業績が悪化していますが、時計産業という成熟した業界では当然の結果かもしれません。十数年前、セイコー舎が他社に先駆けて水晶腕時計を発売した頃は、スイス時計業界が大打撃を受け、名門のオメガ・ゼニス社ですら経営の危機に陥ったのです。そのセイコー舎が今、少し苦境に立たされているようです。そのため最近、水晶腕時計一辺倒から脱却し、機械式腕時計を矢継ぎ早に開発し、発売し出しました。廉価な水晶腕時計は低開発国の低所得者層の人々にとって買い求めやすく、腕時計の普及に多大に貢献しました。年間1億個ものムーブメントを生産出来るメーカーはセイコーとシチズンの他には世界にはありません。
この2社が、腕時計を手にするという夢を世界の人々に与えた事は素晴らしいことです。しかしその反面、価格低下によりセイコーの業績が悪化したのも事実です。

数年来、スイス時計メーカーが機械時計に生き残りの道を模索しだし、個性的な自動巻や手巻きの腕時計を発売しだして、過去の元気さを取り戻しつつあります。セイコー舎もスイス時計メーカーの復活を見るにあたり、原点に立ち戻って最近新開発の機械式腕時計を発売し出したのでしょう。その中には大変魅力のある商品がたくさんあり、一時計商人として大変嬉しく思っているのです。今年の夏からセイコーの歴史的に大ヒットした名作が復活します。

 1.国産初の腕時計 ローレル
 2.国産初のダイバーズウォッチ
 3.機械式時計の雄 キングセイコー

私がこの業界に入った頃、キングセイコーは夢の時計で、早くこのようないい時計を手に入れるようになりたいと思ったものです。修理依頼を受けオーバーホールした時は胸が大変ときめいたことを覚えています。

 4.国産初の鉄道時計 
別名19セイコーと言い、CMWの試験材料にもなった時計です。巻き上げヒゲでミンタイムスクリューを備えた高精度の提げ時計で、価格はとても良心的で安かったです。復活したこの時計の値段が25万円もすることは少し残念です。どうも写真から見ると、新開発の提げ時計の機械ではなく、手巻きの腕時計のムーブメントがケースの中に入っているような気がしてなりません。もし、新開発の提げ時計のムーブメントが入っているのなら、一つ仕入れして店内に陳列しようと思っています。

 5.触読式懐中時計
 6.世界初のクォーツ腕時計
 7.世界初のチタニウム潜水ダイバー があります。

◇カシオ◇
カシオはGショックを発売し、大ヒットさせました。マーケティングを徹底的に分析した結果だと思います。一機種で800億円もの利益を生み出したとは驚きです。しかし、時計職人としてはGショックのムーブメントがあまり好きではなく、当店では発売しませんでした。私は売れる物を売るよりも、売りたい物を消費者に売りたいのです(頑固な時計職人の店で、経営者としては失格かもしれません・・・)。Gショックがもう少し定価が安く設定されていたのなら、私の店でも販売していました。シチズン・オリエント・リコーについては、いづれまたお話しします。