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2007年01月22日

●続時計の小話・第38話(『ペルレ』・ダブルローター)

先日、スイス高級腕時計『ペルレ』・ダブルローター方式の自動巻腕時計のオーバホールを致しました。

この自動巻の巻き上げ効率に優れた方式は、1995年のバーゼル・フェアでペルレ社が開発・発表したものです。ムーブメントを両面2枚のローターで挟む、この機構は『ディプペロス』と呼ばれ、大きな話題を提供しました。

天才時計師、アブラハム・ルイ・ペルレはスイスのル・ロックルで1729年に生まれました。1770年には、世界で最初に自動巻懐中時計を製作し、 230年以上にも渡って伝統と歴史を積み上げてきた、スイスの名門時計会社と言えると思います。創業は1777年まで遡りますから由緒有る時計会社と言えます。

彼の血脈には有能な人材が多数誕生しており、スプリットセコンド・クロノグラフを発明したのは、彼の孫で、ルイ・フレデリック・ペルレという時計師でした。

昨年から経営体制を一新したペルレ社は、矢継ぎ早に魅力のある腕時計を発表し続けています。5ミニッツ・リピーターPG(294万円)、ジャンピングアワー・パラジュームケース採用リミテッドエディション(新ムーブメントCal.P191搭載147万円)、スケルトンクロノグラフGMT (\987,000)、オートマチック・フライングトゥールビヨン(588万円)、パワーリザーブ(\399,000)、ビッグデイト・デュアルタイム(\367,500)、ダブルローター(\378,000)、ビッグデイト・クロノグラフ(\430,500)、アラーム・デイデイト(\672,000)等々、多彩なバリエーションを発表して、最近では、大変勢いのある時計メーカーの一つに数えられています。

ペルレを有名にした、ダブルローター方式とは、今回OHをして始めて良く理解できたのですが、今回OHした物は文字板がケース上部にネジ留めしてあり、上部のローターは足2本がついてある文字板状のものに取り付けて回転出来るようになっています。

その下側にムーブメントがあり、裏側のローターと上部のローターが、歯車一個で連結してあり、非常に効率良く回転運動をするようになっています。さすがに特許を取っただけあって、自動巻機構としては非常に優れた方式だと、思います。自動巻としては複雑な機構にもかかわらず、価格を抑えている為に、ユーザーの方々にとっては手の届く範囲なのが救われます。裏蓋側見た地板の仕上げも全く手抜きしていないで、綺麗で溜息が出るほどです。