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2007年01月22日

●続時計の小話・第27話(新品質基準)

腕時計の品質・精度基準を公式に認定するのにスイス・クロノメーター検査協(C.O.S.C)が特に有名です。ロレックス、オメガ等のスイス高級腕時計のクロノメーターを認定しているのは、C.O.S.Cです。

他には、スイス・ジュネーブ州が伝統的時計製造方法の基準を定めた『ジュネーブ・シール』というものもあります。パテック・フィリップ、バセロン・コンスタンタン等の腕時計はジュネーブ・シールを取得しています。

ジャガールクルト社では独自に『マスター1000時間テスト』を行い、合格品にはその証明としてケース裏蓋に刻印が刻まれています。日本では、セイコー社が『メカ式グランドセイコー』のみに歩度証明書を添付して、厳格な検査をして合格品のみを市場に出しています。

かつてのスイス公認時計歩度検定局(B.O)が認定したクロノメーターよりも、さらに厳しく品質精度を追求した試験検査に天文台クロノメーターという世界最高度の精度検査試験がありました。天文台クロノメーターで有名なものに、ニューシャテル天文台クロノメーターとジュネーブ天文台クロノメーター、フランス・ブザンソン天文台クロノメーターがありました。

天文台クロノメーターを取得した腕時計は過去に於いて高値で販売されていきました。(日本では唯一、手巻きグランドセイコーCal、45が天文台クロノメーターとして過去に販売されました)

2004年9月27日、スイス・フルリエ市の主導により、新・品質精度基準『カリテ・フルリエ』が発足しました。フルリエには、19世紀には数多くの時計工房が存在したほどの時計の街として有名ですが、ここに工場を持つ、ショパール、パルミジャーニ・フルーリエ、ボヴェ社等が参加して、新しい品質基準局がスタートしたわけです。

カリテ・フルリエ(英文ではフルーリエ・クォリティ)には、4つの条件が明記されています。まず、C.O.S.C認定のクロノメータームーブメントである事(日差-4~+6秒)。クロノフィアーブル試験(耐磁試験、耐衝撃試験、防水機能試験)を通過したものである事。そして目視検査があり、地板や受けに仕上げと装飾を施しているかどうか?を見る事。最後にフルリテストが行われ、実際に人が腕にはめた時と同様の条件を設定して、フルリテスト機械によって測定するという厳しい検査が行われます。

最後の誤差の合格基準は日差0~+5秒以内という厳格な品質検査になっています。カリテ・フルリエの認定を受ける腕時計の個数は限られていて、年間生産本数は2000本未満になるという事です。その結果おのずと高価格になってしまうのは致し方ないのかも知れません。