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2007年01月22日

●続時計の小話・第24話(ハートビート・マニュファクチュールについて)

弊店取扱いのフレデリックコンスタント社の『ハートビート・マニュファクチュール』の問い合わせが毎日何件かあります。2002年1月から弊店はフレデリックコンスタントの正規取扱い店になりましたが、デザインも秀逸で、アンテイーク調の飽きの来ないメカ式腕時計を出来うる限りコストを抑えて販売している時計会社ですので、その企業姿勢に共鳴した人々に時折購入して頂きました。

2004年末にハートビート・マニュファクチュール(Cal.FC910 自社生産)の時計をSSケースで世界限定各500本限定で税込価格378,000円で売り出しましたが、当時はそれほど問い合わせや、来店客でそれを見たいという人は多くは無かったのですが、昨年末Cal.FC910をベースにして、

『ハートビート・マニュファクチュール・ムーンフェイズデイト(Cal.FC915-1 自社生産)』をSSケースで世界限定各888本で税込価格 493,500円で発売しました。選択肢が増えた為に最近では異常とも言える人気が出てきて、全機種に渡り品切れ状態が起きつつあります。

小生から見て、ネジはブルー・スチール製を採用し、地板裏側はコート・ド・ジュネーブを装飾し表地板側にはペルラージュ仕上げをしています。一番特徴的な事は、テンプ受けを文字板側に設計する事により、6時位置のテンプの動きや緩急針の仕組みが表側からハッキリ見える、という独創的な設計になっています。

この機種はメカ式腕時計のユーザーの楽しみを増す為に、手巻き機構を採用しており、リューズでゼンマイを巻き上げる時、4つのホイールが連動して動くという仕組みを採用しています。角穴・丸穴車をあえて小さくする事により、丸穴車と角穴車の間に2個の伝え車を置き、手巻きで各4個の歯車が動いてゼンマイを巻き上げるという、面白みを出しています。

創業者のピーター・スタース氏の曾祖父が時計文字盤職人だった影響でしょうか?文字板に強いコダワリを持った製作をしています。一部の機種にはギョッシュ彫りを採用し、インデックスは立体的なアップライド・インデックスを採用している為に、文字盤に陰影が出来、高級感を漂わせる雰囲気の顔造りをしています。

こういう非常に凝った時計造りをしているにも関わらず、コストを低価格に抑えている為に、最近ユーザーの人々も十分認知される様になり、売れてきたのではないか?と思います。緩急針も秒単位で調整出来るトリオビス・ファイン・アジャストメント方式を採用しており、精度も申し分の無い範囲に収まっています。

日本で凄い人気のあるXスイス時計の、地板仕上げをしていないバルジュー7750搭載のクロノグラフが40~50万円以上する事を思えば、如何にフレデリックコンスタント社の『ハートビート・マニュファクチュール』が、良心的でお値打ち品であるか解っていただけるのではないでしょうか?