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2007年01月21日

●第64話(スイス時計 バセロン・コンスタンチンについて)

日本にはセイコー・シチズン・オリエント・リコー等の時計メーカーしかありませんが、スイスには夜空に燦然と輝く綺羅星の如く多数の素晴らしい時計メーカーがあります。ブランパンと並び、世界最古の歴史を持つバセロン・コンスタンチンもその一つです。

創業は1755年で、ジャンマルク・バセロンがスイス・ジュネーブに興しました。その後、フランソワ・コンスタンチンが共同経営者に加わって現在の社名になり、今日まで世界有数の宝飾芸術時計メーカーとして発展しております。現在の年間生産本数は15000本前後でしょう。高精度機械時計のレッテルとして最高の名誉を与えられているジュネーブ・シールを、パティックとともに与えられている二つのメーカーの一つです。マルタ十字を紋章としたバセロン・コンスタンチンは、時計ファンなら誰もが憧れる数少ない時計メーカーの一つでしょう。

トゥールビヨン等の複雑時計を製作出来る技術を当然持ち合わせておりますが、奇異を衒うより、それよりもクラシカルでスタンダードな手巻き腕時計・自動巻腕時計等に優れた時計をいくつも輩出しております。殆どK18YGかK18WGの貴金属ケースで、手巻きでも100万円位はします。一つ一つをマイスター時計職人(キャビノチェ)が手作りで製作しており、非の打ち所のない完璧な仕上げをしています。

1932年に1,2mmの手巻きのムーブを開発し、ケースに入れて総厚さ2,2mmの超極薄腕時計を発売致しております。こういった育まれた技術の伝統は長い時を経てこそ出来るもので、歴史の浅い日本の時計メーカーにこれを求めるのはどだい無理な相談でしょう。

有名な商品群には、手巻きヒストリカル・トップワインダー 155万円、自動巻ヒストリカル・トゥールドイル 150万円、自動巻パワーリザーブラウンド 185万円、手巻きキャビノチェ 145万円等があります。

時計師として身を立てた以上、一生涯に一度は自分の腕につけたい腕時計の一つには違いありません。余裕があれば買いたいスイス時計は一杯あるのですが、なかなかそうたやすく問屋は卸しません。ここ数年、猫も杓子も(言葉が悪くてすみません)ロレックス、ロレックスでいろんな時計雑誌もロレックスの特集ばかりで、少し食傷気味の私にとって、バセロン・コンスタンチン、オーデマ・ピゲ、パティック・フィリップにもっと日が当たって欲しいと願うのは私のみでしょうか。

いつの日にか仕事をリタイヤした時、妻と二人でノンビリとスイス時計工房巡りの旅行をして、上記の時計を購入する事が私の夢であります。

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