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2013年01月14日

●続時計の小話・第106話(白蝶貝文字盤について)

先日、CSのテレビ番組を観ていましたら、東急池上線にある石川台という町に ワイケイ・プレジィジョン(Y.K.P)という会社がある事を紹介されていました。

その会社は賀来勝彦氏が代表で、従業員総数6名という小じんまりとした 小企業でしたが、時計業界では、あるパーツの面では、世界的に有名であると紹 介されていました。

従業員総数6名という会社が、激しいグローバル化された競争社会の中で生き延 びていくには、何かに特化していかなくては生き残れないと思います。ワイケイ ・プレジィジョンが何に特化しているのかは、腕時計の文字盤の素材に他社では真似 の出来ない加工技術を持っているからに他ありません。

南太平洋で、産出される高級白蝶貝を集め、その中から色合いの良いものをさらに選び出して、 文字盤として使用される様に0.1mmの厚さまで切断し薄く綺麗に磨きあげる技術をワイケイ ・プレジィジョンが持っているのです。

メインユーザーとして、ロレックス、オメガ、セイコークレドール等の高級機種 にワイケイ・プレジィジョンが製作した白蝶貝の文字盤が採用されているという 事です。すごい事だと思います。

オーバーホール時に白蝶貝文字盤から針、長短秒針等の針を抜く時には、今まで白蝶貝文字盤 をキズつけたり、亀裂・ヒビをさせてしまった事は今まで一度もありませんが、 ピアジェ等の宝飾腕時計メーカーは文字盤にヒビが入りやすいオニキス石や、孔 雀石を採用している場合があり、その時は剣を抜く時には最大限の注意を払って 作業をします。

私の知人の時計職人がかつてオニキス石の文字板から剣を抜く時、オニキス石を 割ってしまった事を聞き及んでいましたので、 そういう時計の修理依頼の時は細心の注意を払ってしています。