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2008年12月15日

●続時計の小話・第94話(ETA社の珠玉のムーブメント)

スイス高級有名腕時計(カルティエ、インターナショナル、オメガ、ロンジン、エベル、ボーム&メルシェ、ウブロ、ブライトリング等々)が、ETA社のムーブメントを採用している大きな原因は、ムーブメントのコストパフォーマンスの秀逸さと、オーバーホール等の修理調整がし易いという利点と共に、高精度を絞りやすいという大きなメリットがあるからに他ありません。

ETA社のムーブメントの代表的Calに、
紳士用手巻きにはCal.2801、Cal.7001、
紳士用自動巻には、Cal.2824、Cal.2836、Cal.2892があります。
婦人用自動巻には、Cal.2000、Cal.2621等があります。
クロノグラフムーブメントには、有名なCal.7750が秀峰のようにあります。
懐中時計のムーブメントには、Cal.6497/98が歴然と存在します。

最近時折、懐中時計用ムーブメント・Cal.6497/98を搭載した、手巻腕時計のオーバーホール・修理の依頼を受けます。この懐中時計用ムーブメントを搭載した、スイス腕時計には、パネライ、タグホイヤー、アルピナ、エポス等々沢山あります。

中でも、エポスのCal.6497/98を採用した、手巻腕時計の修理を受けた時は、大型テンプを採用して慣性モーメントが高い為に、精度がいとも容易く出、心安らぎながら修理が出来る時計職人にとってはありがたい機種になっています。

地板にはコート・ド・ジュネーブ仕上げをしたエポス3366系の腕時計の仕上げの美しさには惚れ惚れする様な気持ちを抱きながら修理をし、なおかつ価格が8万円前後と抑えてあり、パネライ、タグホイヤー等の様に数十万円する訳でも無く、手頃な価格で入手出来るのは、時計愛好家の人達にとっては、
嬉しい価格設定だと思います。

このCal.6497/98は、今から40年ほど前の1967年に開発された、歴史ある名機と言えます。竜頭を3時位置にして9時位置にスモール・セコンド針があるのがCal.6497で6時位置にスモール・セコンド針があるのがCal.6498です。振動数も18,000から21,600振動と進化し、駆動時間も56時間へと増大した為に、ユーザーの方にとっては、精度も申し分なく、使い勝手もとても良くなっています。

Cal.6497/98に微調整緩急針『トリオビス』が採用されているムーブメントの場合、ほとんど難しい調整をする事無く、クロノメーター級の精度が簡単に出る事を思えば、このCal.6497/98は、ETA社の数ある名機の中で、Cal.7750と共に、最高のムーブメントと断じても言い過ぎては無いと思います。