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2008年03月20日

●続時計の小話・第79話(ジャッケS.A.について)

エポスの3327SL及び、3327BKに搭載されているムーブメントは、旧ジャッケS.A.(現ラ・ジュ・ペレ社)製のダブルブリッジ Cal.7361 ・19石のトノー型のクラシカルな機械です。

世界限定各300個なので将来、希少価値の出る腕時計と思われ、注目されています。エポス社ならではのコストパフォーマンスで、パワーリザーブ機能が付いたこの機械を搭載して、30万円を切る価格で発売している事は、エポス社の独壇場と言えるでしょう。

旧名ジャッケ社から2001年に、ラ・ジュ・ペレ社に変更になり会社が大きく変貌し、現在では、社員150名で機械式ムーブメントを年間10万個製造する、大きな時計ムーブメント製造メーカーに成長致しました。

ラ・ジュ・ペレ社の経営方針は、ETA社製ムーブメントのモディファイ(改造)を主眼においていますが、ラ・ジュ・ペレ社が開発した独自の機械式ムーブメントを6種類持っている点からも、ラ・ジュ・ペレ社の技術力の高さが伺いしれます。

クロノグラフの愛好者から、垂涎の的になっているアンティーク手巻きクロノグラフ、ヴィーナスCal.175を最近忠実に完全に復刻させたのは、ラ・ジュ・ペレ社です。今後、この復刻されたラ・ジュ・ペレ社製のヴィーナスCal.175のムーブメントを搭載した、手巻きクロノグラフが発売されていく事は、容易に想像出来ます。

特にラ・ジュ・ペレ社が、得意としている分野はヴァルジュー7750を改造して、沢山のバリエーションのクロノグラフ・ムーブメントを開発している事です。特にカム式からコラムホイール式に改造した、ムーブメントは操作性の信頼度も増し、高級腕時計メーカー『ウブロ』や『グラハム』等に採用されていて、付加価値を上げる役目を十分に果たしています。

ヴァルジュー7750を改造して、フライバック機能、ビッグデイト機能、スプリットセコンド機能、GMT機能等のクロノグラフを生産し、スイス有名時計メーカーにムーブメントを供給している事からも、ラ・ジュ・ペレ社はスイス時計業界に大きな影響力を持った時計メーカーだと言えます。

7日巻きのロングパワーリザーブを誇るラ・ジュ・ペレ社製Cal.7060のムーブメントは、『アーノルド&サン』に供給している事も、皆さん承知の事実です。

小生が以前オーバーホールをした、アラーム付きア・シールドCal.5008を改造して、GMT機能を付けて販売したり、スイス高級腕時計メーカーからトゥールビヨンの生産依頼を受け、受註先の時計メーカーのみ納品するオリジナルのトゥールビヨンも生産するという、優れたムーブメントメーカーで、今後のラ・ジュ・ペレ社の動向には目を離せません。

唯一不安要素と言えば、2010年以降にスウォッチグループがETA社製ムーブメントをパーツのままの状態では、出荷しない事への気がかりです。でも、この問題も開発力に秀でたラ・ジュ・ペレ社は簡単に克服していくものと思われます。