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2007年01月22日

●続時計の小話・第48話(時計技術通信講座の終了)

2001年の春から時計技術通信講座を6年間に渡り、28人の生徒諸君を教えてきました。今年は名門大学T大出のN君や、W大出のT君等の俊英の生徒が入門してきました。今年度の受講生のレベルは例年より高かったようで、3人の生徒諸君が修了証書を貰えるまで、腕を上げました。

中でもN君は、礼儀正しく、几帳面な性格で、先輩の人に対しても言葉遣いが丁寧で、非常に好感の持てる青年でした。彼は頭脳明晰で、理解力も早く、わずか4回しか基本的技術を教えているにもかかわらず、呑み込みが早く相当腕を上げました。

語学力のある彼は英文の時計技術叢書を入手して、今後理論を勉強するそうです。
こういうやる気のある青年がこの業界にぜひとも入ってきていただきたい、と熱望しております。

『信州・匠の時計職人』の2級を合格した静岡県のK君の、後を継いで、ぜひとも時計技術試験合格に向かって邁進してほしいと思います。将来的には日本の時計技術の屋台骨になれる人材であると思っております。

28人の生徒の中には、セイコーやシチズンに勤務している人もおりましたし、いろんな業種に渡る多くの青年と懇意になれたのは、小生にとっても多くの収穫がありました。受講後、希望に胸ふくらませた青年達といろんな業界の話や、人生談義を話す事が出来たのも、大きな楽しみの一つでした。現代の青年がどのような人生観、考え方を持っているのかとても新鮮で話を聞くことが出来た事も嬉しいことでした。

2007年度も時計技術講座をいつ募集されるのですか?という問い合わせが11月頃より多くメールや手紙できておりますが、人を教える、という事は大変なエレルギーと気力を消耗しますので、2007年度の時計技術通信講座は一時休止したい、と思っています。また、体力と気力が充実してきましたら、生徒を募集して時計技術通信講座を再開したいと思っております。

思うにつけ、角野先生や行方二郎先生、加藤日出男先生、菅波錦平先生の諸先生方は生涯にわたり、何十人~何百人という多くの優秀な時計職人を育て上げられた事を思うと、自分の非力を痛感すると共に、諸先生方の努力と熱意に頭が下がる思いがします。